【ブログ】イボタノキと蒔絵の関係。

こんにちは。
ホームページ担当の針谷裕美です。

暖かくなってきて休憩中に庭仕事をしていると「ホーホキェキョッ」とうぐいすの鳴き声が聞こえるようになりました。
工房近くの桜もいつの間にか満開に咲き誇っています。

 

最近、庭に新しく「シルバープリペット」という植物を植えました。
和名は「イボタノキ(水蝋)」です。

名前にシルバーと入っていますが黄色がかった班入り模様の葉っぱです。
低木で大きくなっても1m〜3mほど、生垣としてよく使われます。そのためか花言葉は「くつろぎ」です。

 

 

 

実はこの「シルバープリペット =イボタノキ(水蝋)」は蒔絵にも関わりがある植物だったのです。

このイボタノキに集まる「イボタロウムシ」の出す分泌物を精製して「イボタ蝋」と言う蝋分を取り出し、それを粉末状にした「イボタの花」をうるしアートはりやでは使用していました。

 

使うタイミングは蒔絵を描く最初の段階、「置目」をする前です。

どのように使っていたか再現してみました。
こちらが「イボタの花」です。

灰色がかった白い粉です。小さな粉の固まりになっており感触は小麦粉と片栗粉を混ぜて少しざらつかせたような感じです。
イボタの花を布で包んで紐で縛ります。てるてる坊主のような形です。

静電気を取りたい素材にぽんっぽんっとてるてる坊主の頭をあてると布の隙間から細かいイボタの花が適量出てきます。
布でイボタの粉を素材に馴染ませるように拭き取ります。
そうすることによって静電気を抑え素材に埃がつきにくくなります。

※今は別の方法で静電気を除去しています。

 

 

ちなみに「イボタ蝋」「イボタの花」は他にも日本刀の手入れや蝋燭の原料、家具の艶だしや引き出しの滑りをよくするために使われてきました。また鎌倉彫や会津の鉄錆塗の艶上げにも使われているそうです。

 

艶を上げるということで蒔絵の「磨き」の工程の後に「イボタの花」を使ったらどのようになるのか試してみました。
※「磨き」とは細かい粒子で蒔絵を研磨し艶をあげる蒔絵の最終工程です。
下の2つの動画で艶の部分に注目してみてください。

●通常の磨き方のみ。

●通常の磨き方の後に「イボタの花」をつけて布で全体的に馴染ませました。

 

 
素材の個体差もあるとは思いますが「イボタの花」をつけた方が艶が出ているように感じます。
「イボタの花」は艶を素材にのせるので例えば艶を出したいけどこれ以上磨くと蒔絵の部分が剥げてしまいそうという時に使ってみると良いかもしれません。
また作品の艶をもっとあげてピカピカにしたいという場合に使えると思います。

 

「イボタノキ(水蝋)」について調べれば調べるほどに虫の分泌物を精製して何かに使えないかと様々な利用方法を考えた人達は本当にすごいと思いました。
私たちも今以上に蒔絵の可能性を考えて生活の中から何かヒントがないかと日々考えて参ります。

 

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